マルボシヒラタハナバエ:生態と一年の流れ
小さなヤドリバエ、Gymnosoma rotundatumについて。姿、一年の流れ、生態系での位置、そして自然のままの害虫抑制を紹介します。
目次
- はじめに
- 見た目
- おもな特徴
- 一年の流れ
- 食べ物と生態系での役割
- 季節ごとのふるまい
- 分布と暮らしの場
- よくある質問
- おわりに
はじめに
おそらく知られていない虫ですが、Gymnosoma rotundatumは自然のままの害虫抑制で大切な役割を果たしています。4月から9月にかけてセリ科の花で花蜜を吸い、そのあいだ幼虫はカメムシの体内で育ちます。薬剤をいっさい使わずに、その土地の寄主の数を抑えているわけです。
見た目
体長は5〜7mmしかなく、G. rotundatumはずんぐりして見えます。
- 胸部: 光沢のある黒。細かい金色の毛が生える
- 腹部: ふくらんでいて、つやのない黄色からオレンジ色。うすい中央の筋が出ることもある
- 複眼: 大きく、濃い褐色で、個眼が多い
- 触角: 短く3節からなり、剛毛のような触角刺毛(アリスタ)をもつ
- 翅: 透きとおり、翅脈がはっきりして模様はない
おもな特徴
- 丸い腹部。色が胸部と強く対照をなす
- なめらかな胸部。感覚毛としての剛毛が密に生える
- こん棒形の触角。先が剛毛状になる
- はっきりした翅脈。暗い斑はない
一年の流れ
- 産卵: 雌はカメムシに卵を一つずつ貼りつけます。
- 幼虫期: 幼虫は寄主の体内で10〜14日かけて育ちます。
- 寄主の死と脱出: 育ちきった幼虫は寄主を離れ、土の中にもぐります。
- 蛹の時期: 落ち葉まじりの土の中でおよそ30日(気温が低いときは40日ほどまで)休みます。
- 成虫: 春から新しい成虫が羽化します。暖かければひと季節に2〜4世代です。
飛ぶ時期はふつう5月から7月に集まりますが、暖かい天気なら4月から9月まで続くこともあります。
食べ物と生態系での役割
- 成虫: セリ科の花(セイヨウノコギリソウ、ウイキョウなど)で花蜜と花粉を集め、受粉を助けます。
- 幼虫: カメムシ科(Pentatomidae)の内部寄生者です。寄生されることで害虫の数が自然に、しかも的をしぼって減ります。
季節ごとのふるまい
- 飛ぶ時期: 15℃を超えると、4月から9月まで。
- 活動の山: 5月と6月の、日の差す日。
- 越冬: 土の中で蛹の姿で。
分布と暮らしの場
G. rotundatumは旧北区に分布します。
- 中央ヨーロッパから北アフリカまで
- 西アジア
好むのは、畑のへり、生け垣、林の縁のような、暖かく乾いた開けた場所です。
よくある質問
- Gymnosoma rotundatumは刺しますか。
いいえ。人にはまったく無害です。 - 確かに見分けるには。
球形の黄橙色の腹部と光沢のある黒い胸部で見分けます。 - 観察に適した時期は。
5月から6月の、暖かく日の差す日です。 - 一年に何世代が育ちますか。
暖かさによりますが、2〜4世代です。 - 庭で増やすにはどうしますか。
在来のセリ科の植物を植え、殺虫剤を避け、地面の一部に手を入れずに残すことです。
おわりに
花の咲く帯を意識してつくり、薬剤をやめ、構造の豊かなへりの場所を残せば、Gymnosoma rotundatumにとって申しぶんのない条件が整います。それは受粉を支えるだけでなく、庭や畑でカメムシを自然に抑える働き手を強めることにもなります。



