動物写真

地上に立つワタリガラスの横姿。羽に緑と紫の光沢。
ワタリガラス 野生動物写真

動物写真とは動物を撮る写真のことで、野生動物からペットまでを含む幅広い分野です。人気があり、撮りがいのある分野でもあり、多くの写真家がこのジャンルを専門に選ぶきっかけになってきました。この記事では動物写真をもう少し詳しく、とくに野生動物とペットを撮ることの違いに絞って見ていきます。

動物写真入門

動物写真は写真の世界で確かなジャンルになり、幅広い作風と技術を含むようになりました。動物写真がめざすのは、動物のふるまいと、その生息環境のなかで見せる自然な美しさをとらえることです。難しい撮影になることもありますが、そのぶん見返りがあり、見る人にさまざまな感情を呼び起こす力を持っています。

野生動物写真とペット写真の違い

野生動物写真とペット写真は一見すると似ているかもしれませんが、両者を分ける本質的な違いがいくつかあるのです。ここからは、その違いを詳しく見ていきます。

暗い水面で、泳ぎ寄るコブハクチョウから飛び立って逃げるエジプトガン。
野生動物写真では、環境を思うように整えられない

環境

野生動物写真とペット写真を分ける本質的な違いのひとつが、動物を撮る環境です。野生動物は自然のなかで暮らし、生きていくうえで環境に頼っています。ですから野生動物を撮るには、変わっていく状況に合わせ、動物を自然の環境のなかで追うための高い機動力と柔軟さが求められます。いい写真を手に入れるために、難しく、ときに危険な状況に身を置く覚悟も必要です。

いっぽうペットが暮らすのは人の手のもとで、撮影はふつう家のなかや庭です。そのため撮る側は環境をよりよく手中に置けて、いい一枚のために背景やそのほかの条件を動かせます。動物とやりとりしながら、決めた姿勢のまま留まってもらうこともできます。

秋の林床を正面から歩いてくるドバト(Columba livia domestica)。首の羽が虹色に光る。

ふるまい

野生動物写真とペット写真を分けるもうひとつの違いが、動物のふるまいです。野生動物は種と環境に応じた独自のふるまいの型を持っています。ですから野生動物を撮る人は、いい写真を得るために、動物を観察してそのふるまいの型をつかむ時間を長くとらなければなりません。自然なふるまいのなかで動物を撮るには、辛抱強さと粘りが求められます。

いっぽうペットはふつう飼い主と近い関係にあり、人がそばにいることに慣れているものです。ですからペットを撮る人は、動物とやりとりしながら、決めた姿勢やふるまいのまま留まってもらい、いい一枚を得られます。ペットは撮る人の合図や身ぶりに応えるようしつけることもでき、狙った写真がより撮りやすくなります。

技術面

野生動物写真とペット写真を分けるもうひとつの違いが、撮影の技術面です。野生動物写真では、動く動物をとらえ、離れた場所から撮るために、望遠レンズや動きの速いカメラといった高価な機材がふつう必要になります。また、悪天候や歩きにくい地形といった厳しい条件のなかで機材を運べることも必要です。

ペット写真に必要な機材はそこまで特殊ではなく、ふつうは市販のカメラとレンズ1本でこなせます。ペットは屋内か庭で撮ることが多いため、狙った写真のために人工の光源を使うこともできます。

倫理

動物写真でもうひとつ欠かせないのが、撮影の倫理です。野生動物は自然の環境のなかで敬意をもって扱われるべきで、狙った写真のためにその生息地を乱してはいけません。野生動物を撮る人は、野生動物の保護のために定められた決まりをつねに守り、写真のために動物を操ったり乱したりしようとしてはいけません。

ペットの場合、ふつうは整えられた環境で撮るため、撮影の倫理はそこまで込み入っていません。それでも撮る人は、ペットの健やかさを損なわないこと、狙った写真のために苦しい姿勢やふるまいを強いないことを守る必要があります。

まとめ

このように、野生動物写真とペット写真のあいだには、このジャンルを専門にするなら踏まえておきたい違いが数多くあります。野生動物写真に求められるのは、辛抱強さと粘り、そして高価な機材です。ペット写真はふつうもっと手をつけやすいものの、それ自体の難しさがあります。どちらを選ぶにせよ、動物写真は撮りがいのある経験であり、動物への理解と敬意を深める助けになります。