雪に覆われた1月から3月の北海道、世界中の自然写真家が日本の北へ向かうのは、この時期です。羅臼の沖では、流氷が海岸に達すると同時にオオワシが氷の上にとまります。釧路ではタンチョウが集まり、屈斜路湖では温泉の湯で水が凍らない場所にオオハクチョウが身を寄せます。
ただし、これらを撮影するにはマイナス10度以下の気温、凍結した道路、そして非常に短い冬の一日を覚悟しなければなりません。

短い日照と、狭い光の時間帯
1月の日の出は6時40分ごろです。タンチョウの撮影地によっては、周囲の稜線に隠れて7時20分ごろまで姿を見せません。そして15時30分には、最後の光が消えます。撮影可能な時間はそのぶん短くなります。11時から14時ごろは光が強くなります。道東の冬は曇りや吹雪く日もありますが、晴天日は比較的多いです。

マイナス10度なら、まだ穏やかなほうです
一方で寒さには対策が必要です。マイナス10度なら、雪の中で過ごす一日はむしろ穏やかに感じられます。マイナス20度になると、吐く息の水分がバッテリーグリップやカメラの背面モニターに凍りつくこともあります。

ですから、良い手袋は欠かせません。それでも、手を寒さから完全に守ることはできません。シャッターや親指AFのために指を一本出せば、寒さはすぐに伝わってきます。
凍結した道路は時間を奪う
北海道を自分で回るなら、移動には時間の余裕を十分に見ておく必要があります。撮影ツアーであれば、経験のあるガイドが冬の状況を計画の段階から織り込んでいます。
特に小さな町や海沿いの地域は、完全に冬に覆われることがあります。根室では、場所によっては道路上の氷が20cmほどの厚さになることもあります。
阿寒国立公園の周辺でも同じ状況が見られます。温泉の湯が下水道を流れ、マンホールの上の氷を溶かします。そのため、途切れのない氷の層に深い穴が点々と開きます。


動物たちも寒さに合わせる
寒さの影響を受けるのは撮影者だけではありません。動物たちも一日の過ごし方を変えます。
厳しい冷え込みの朝、タンチョウが採餌地へ向かう時間が遅くなることがあります。凍結した風蓮湖では、オオワシ、オジロワシ、トビが木の上で氷下漁の混獲を待ちます。



コタン温泉では温泉の湯が屈斜路湖に流れ込み、湖面の一部を凍らせずに保ちます。オオハクチョウはそこに集まり、気温が下がるとこの温かい水を利用します。


長い焦点距離も風景の一部
機材を見れば、多くの来訪者が動物写真のために北海道を訪れていることがわかります。羅臼沖の船上やタンチョウの撮影地では、400〜800mmの焦点距離で撮る人が目立ちます。
人気の高い被写体には、タンチョウとオオワシが挙げられます。冬の北海道に渡って来るオオワシを観察できるのは世界でも稀で、自然写真家にとって大きな目当てのひとつになっています。
被写体はほかにも数多くあります。オジロワシ、オオハクチョウ、ニホンジカ、キタキツネ、そしてエゾフクロウ(Strix uralensis japonica)、北海道に分布するフクロウの亜種です。もうひとつの見どころが、羅臼周辺で見られるシマフクロウ(Ketupa blakistoni)です。





日没後も撮り続ける
氷点下の日々を何日か過ごしてもまだ物足りないなら、エゾモモンガを探しに行くこともできます。この小さなモモンガが冬のねぐらを出るのは、日が暮れてからです。

ですから、北海道の撮影は必ずしも日没で終わるわけではありません。早朝のタンチョウ、氷上のワシ、そして夜のモモンガ。冬の北海道は、限られた範囲に非常に多様な動物の被写体を備えています。
美しい冬の風景、厳しい条件、そして興味深い多様な野鳥や動物たち。この組み合わせこそが、北海道を自然写真家にとって特別な目的地にしています。

