ソニー400mm F2.8 OSS GMを野生動物撮影で長期使用したレビュー

海岸でソニー400mm f/2.8レンズを構えるマルクスのモノクロ写真。
日本でミサゴを撮影中のソニー400mm F2.8 GM + TC 1.4x

ソニー400mm F2.8 OSS GMは野生動物撮影に向いているのか

目次

  • この記事で分かること
  • ソニー400mm F2.8に関する過去の記事
  • これまでの経緯
  • どこで使ってきたのか
  • 取り回し(バランスと重量)
  • AFの速さ
  • 被写体の際立ち
  • 明るさ
  • 焦点距離の柔軟性と描写性能
  • アクセサリー
  • 実際の運用
  • 総括

この記事で分かること

ソニー400mm F2.8 GM OSSは価格に見合うレンズなのか。2022年10月以降、野生動物撮影のあらゆる遠征に持ち出してきました。この記事では、購入の判断に役立つ実際の使用経験とそこから見えたことをまとめます。

これまでの経緯

2022年10月に400mm F2.8 GM OSSを選びました。当時は情報が乏しく、批評的な内容もほとんど見当たりませんでした。使い込んだ今なら、自分の経験を共有できます。

取り回し(バランスと重量)

このレンズの重量は2895g。カメラ側にバッテリーグリップを付けると、とくにバランスが良くなります。それでも長時間の手持ち撮影に向いたレンズではありません。三脚か一脚が必要になる場面が多くあります。

AFの速さ

AFは非常に高速で、ソニーα1との組み合わせではとくにそれを感じます。1.4xテレコンバーターを付けても速度はほとんど落ちません。一方2xテレコンバーターでは、機敏さと精度が目に見えて落ちます。

被写体の際立ち

400mm F2.8では被写体が見事に浮かび上がり、ボケも文句なしです。560mm F4(TC1.4x)でも質は高いまま保たれます。2xテレコンバーター(800mm F5.6)でも、ボケ自体はきれいです。

明るさ

光が弱い状況でこそ400mm F2.8 GMの真価が出ます。早い時間から撮り始められ、ISO感度を上げずにシャッタースピードを稼げます。

焦点距離の柔軟性と描写性能

400mm F2.8と560mm F4(1.4x TC使用)では解像感が高く、抜けの良い描写が得られますが、そのためにはF5まで絞る必要があります。2x TCを使えば800mmに届くものの、とくに距離が伸びると画質は落ちます。

アクセサリー

別途用意するアルカスイス対応の三脚座とレンズプロテクターが役に立ちます。テレコンバーターの交換は手間がかかり、極端な温度や砂ぼこりの多い環境ではリスクも伴います。

実際の運用

ソニー400mm F2.8 GM OSSは過酷な温度環境でも堅牢で安定して動きます。重い反面、バランスは良好。2xテレコンバーターは物足りませんが、レンズ全体の完成度は見事です。

総括

ソニー400mm F2.8 GM OSSはおおむね期待に応えてくれました。1.4xテレコンバーターはとてもよく機能し、TC2xはそこまでではありません。

重量と取り回しから手持ちは楽ではありませんが、画質と明るさは納得の水準です。内蔵テレコンバーターや軽量化といった改良があればなお良いと感じます。

ソニー400mm F2.8 GM OSSの長所と短所

長所

  • 400mm F2.8と560mm F4での卓越した画質
  • 文句なしのボケ
  • 光が弱くても速いシャッタースピードを使える
  • 非常に高速なAF
  • 良好なバランス
  • テレコンバーターで焦点距離を伸ばせる

短所

  • 重い(2895g)。
  • 2xテレコンバーターでは性能が大きく落ちる
  • 純正の三脚座がアルカスイス非対応
  • テレコンバーターの交換が煩わしい
  • 価格が高い

この記事で分かること

そろそろ結論を出す時期です。ソニー400mm F2.8 GM OSSは看板どおりの実力なのか。
このレンズは2022年10月以来、野生動物撮影の遠征に欠かさず連れて行っている一本です。

この記事では、2022年10月からのソニー400mm F2.8 GM OSSの使用経験をまとめます。あの選択が正しかったのかどうかもお伝えします。良かった点だけでなく、物足りなかった点はどこだったのか。
同じようなレンズの購入を検討している段階なら、判断の材料になるはずです。

ソニー400mm F2.8 GMが実際どうだったのかだけを知りたい方にも、読みどころは多いと思います。

2022年10月以降、このレンズが手元を離れたことはありません。地元のフィールドでも、日本を巡る旅でも、いつも一緒でした。

では、本編へ。

ソニー400mm F2.8 GMに関する過去の記事

輸送ケースに収まるソニー400mm F2.8 GMレンズとソニーα1。

おさらいです。このレンズについては、すでに2本の記事を書いています。明るい単焦点レンズのファーストインプレッションとテストが中心の内容です。ソニーの600mm F4 GMを選ばなかった理由も、そちらに書きました。まだ読んでいなければ、購入に至るまでの判断の流れを把握するためにも目を通しておくことをおすすめします。

GM 400mm F2.8のファーストインプレッション

GM 600mm F4ではなくGM 400mm F2.8を選んだ理由(Eマウント)

これまでの経緯を簡単に

先に他の2本を読む時間がなければ、ここで要点をまとめます。2022年、レンズの質をもう一段引き上げようと決めました。その前段として、じっくり考え、インターネットから集められる限りの情報を探し、400mm F2.8を所有する複数の写真家とも意見を交わしました。ネット上の情報は英語圏でさえ非常に乏しいものでした。多くは賛辞か、「ソニーの高価なレンズをテストしてみた」といったクリックベイト的な記事です。批評的な視点は少なく、野生動物撮影に紐づいた内容はほとんど見つかりませんでした。自分が抱えていた疑問に答えを得るのは、なかなか難しい作業でした。

先に言っておくと、400mm F2.8 GMはこの価格帯にふさわしい、卓越した描写を見せてくれます。そうでなければ価格に見合わず、すぐに返品していたはずです。

自分にとって重要だったのは別の点で、他の野生動物写真家の経験から事前に知っておきたかった部分です。ただし当時は、ソニーの600mm F4 OSS GMが出て以来、野生動物写真家の大半がソニー機用にこの単焦点を求めているように見え、その分だけ情報探しは難航しました。

なぜ600mmではなく400mm F2.8を候補にしたのか

機材に関する判断はいつもそうですが、まず野生動物撮影で過ごしてきた年月を振り返り、何が必要で何を良くしたいのかを自問しました。焦点距離そのものは、この時点では最優先ではありません。200-600mm F5.6/6.6 Gですでに600mmは手にしていましたし、このレンズはF6.3という明るさの弱さを除けば実に優秀です。それでも当時の主力機材はこのレンズで、英語でいう「My workhorse」でした。

明るさ

旅に出ていないときは、ドイツ国内で撮影しています。通うフィールドの多くは森の縁か森の中です。200-600mmでは限界に突き当たる場面が少なくありませんでした。そこに天候が重なると、夏でも光の条件が整わないことは珍しくありません。活動が非常に早い種を狙う遠征では、とくにそうです。

焦点距離の柔軟性と描写性能

ソニー1.4倍・2倍テレコンバーターとポーチ、二色調の製品写真。
ソニーのテレコンバーター1.4xと2x

ズームレンズの次の段が単焦点である以上、普段は600mm付近を多用しているとはいえ、600mmに固定されたくはありませんでした。600mm F4 GMを追加で買うつもりがないのも、はっきりしていたからです。それに旅先でも日常でも、600mmでは大きすぎる場面が数多くありました。そこで考えたのが、400mmとテレコンバーターで600mm相当(400mm F2.8 + TC 1.4 = 560mm F4)をカバーする方法です。あるいはTC 2xで800mm F5.6まで伸ばす選択肢もあります。しかも画質の低下をほとんど伴わずに。テレコンバーターの実際は、理論どおりにいかないことのほうが多いのですが。

AFの速さ

飛翔シーンを追うことが多いため、ここはもう一段の上積みがほしい点でした。正確にいえば、この価格帯のレンズへの期待です。手持ちのソニー200-600mm G OSSやソニー100-400mm GM OSSも、AFはすでにかなり優秀ですから。しかも400mm F2.8 GMはやや古い設計で(2018年発売)、ソニー200-600mm Gや600mm F4 GMより前に登場しています。ソニーの場合、最新の技術が新しいモデルに載るとは限りません。カメラのアップデート方針を見ればわかりますし、ソニーa6700がその好例です。a6700は最新のAF機能を備える一方、フラッグシップのソニーα1にはそうした改善のアップデートがなかなか届きません。価格差はおよそ5000ユーロ…


ソニー200-600mm Gとソニー100-400mm GMのAFも決して見劣りしません。上の作例からも見て取れるとおりです。ソニー400mm F2.8は、それをさらに超えられるのか。

被写体の際立ち

被写体をきれいに浮かび上がらせるのは絞りだけの働きではない。それは経験を積んだ写真家ほどよく分かっていることです。それでも柔らかなボケと、そのために必要な背景との距離は、やはり絞りに大きく左右されます。自然写真では背景までの奥行きが足りない場面が多く、小さい絞り値はその不足をかなり補ってくれます。F2.8、あるいはTC 1.4x装着時のF4なら、理論上は求めていたものがそのまま得られるはずでした。

重量とバランス

軽いレンズではありませんが、当時は同クラスで軽い部類に入っていました。それでも相当な機材ですし、三脚を使わずに構えたとき2895gという重さがどんなバランスになるのかは見当がつきませんでした。バランスは非常に良いと読んではいました。ただ、それが現実の撮影で何を意味するのか。

そこから浮かんだ主な疑問

  • テレコンバーター1.4xと2xを付けたときの描写性能はどうか
  • テレコンバーターの有無それぞれでAFはどうか
  • 最新世代のレンズと比べてAFはどうか
  • 手持ち撮影での取り回しはどうか
  • 追加のアクセサリーは必要になるか

ここまでが購入前に考えていたことのまとめです。今もその判断を支持しているかどうかは、これから書いていきます。さらに詳しい内容は、他の2本の記事にあります。600mm F4 GMのテストから得られた結論も、そちらに書きました。

GM 400mm F2.8のファーストインプレッション

GM 600mm F4ではなくGM 400mm F2.8を選んだ理由(Eマウント)

どこで使ってきたのか



先に触れたとおり主にドイツ国内ですが、毎年の日本の旅でも使ってきました。日本では焦点距離の柔軟性がとくに効きます。ヨーロッパとは違い、日本ではオジロワシ、オオワシ、シカ、ツルがずっと近くまで寄ってくれるからです。場合によっては600mmでは長すぎます。

取り回し(バランスと重量)

まず取り回しから。レンズの重量は2895gで、これは相当な数字です。初めて手にしたときは、正直なところ驚きました。3kg近いという感触が最初はまったくありません。200-600mmも2225gですから軽量とは言えませんが、400mm F2.8 GMのほうがバランスの良さを感じました。この点については、事前に得ていた情報どおりでした。

最良のバランスを得るため、カメラにはバッテリーグリップを併用しています。総重量は増えますが、そのぶん安定します。レンズの重心が後ろ寄りにあるため前に垂れず、手持ちでも力を使わずに済みます。バッテリーグリップはその効果をさらに高めてくれます。

総じて申し分ありません。もちろん、いつまでも手持ちで使い続けられるレンズではありませんから、一脚か三脚の併用が現実的です。

ソニー400mm F2.8 GMのAFの速さ










AFの速さについて、多くの言葉は要りません。400mm F2.8でのAFの反応は非常に速く、ソニーα1と組み合わせると圧倒的な速さになります。本題はテレコンバーターを付けてからです。飛翔中の鳥のように速く動く被写体では、違いが見えてきます。ソニーの1.4x TCでは差を感じませんでした。TC 2xでは事情が変わります。AFは機敏さ、速さ、精度のいずれも落ちます。水準としてはまだ良好ですが、GMレンズとしては物足りません。
「ソニー400mm F2.8は、200-600mmと100-400mmの速いAFをさらに超えられるのか」という問いには、はっきり「はい」と答えられます。

ソニー400mm GMでの被写体の際立ち








被写体の際立ちについても答えは明快です。400mm F2.8では被写体が見事に浮かび上がり、ボケも申し分ありません。560mmでも同じで、400mm F2.8の開放とは比べられないにせよ、非常に高い水準の話です。TC 2xではF5.6まで絞られるぶん背景の写り込みがはっきりしてきますが、それでもボケは滑らかで美しいままです。

ソニー400mm F2.8、光が弱い状況での明るさ




思い描いていたとおりで、期待を裏切られることはありませんでした。ブルーアワーが始まる時間帯、光が回る環境にいると、この種のレンズの強みがはっきり出ます。かなり早い時間から、しかも実用になるシャッタースピードで撮り始められます。光量が増えるほど速いシャッタースピードを選べるので、飛翔シーンではとくに効いてきます。望遠ズームと比べれば、一日のうち早い時間から長く撮影でき、ISO感度を上げずに速いシャッタースピードを使えるわけです。ここまでは驚くような話ではありません。自分にとって決定的だったのは、次の点でした。

400mm F2.8の焦点距離の柔軟性と描写性能

ここが自分にとって決定的な点であり、情報を集めるのに最も苦労した部分でもあります。参考になる資料が1件ありましたが、そのテストは野生動物撮影を想定したものではありませんでした。レンズが手元に届いてから最初のテストを行い、ソニー600mm F4を所有する知人の協力で400mm F2.8との比較もできました。

1年半ほど使った現時点での、柔軟性と描写性能についての実感は次のとおりです。

400mm F2.8では

雪上を低空飛行するオオワシ、ソニー400mm F2.8で撮影。
ソニー400mm F2.8 GM、400mm F2.8で撮影

400mm F2.8では問題なし。これはレンズ本来の焦点距離ですから、付け加えることはありません。描写は平たく言えば「圧巻」で、解像感も抜けの良さも非常に高い水準です。

TC 1.4x 560mm F4

雪の中のユキホオジロの接写、錆茶色の耳羽の斑と縞模様のある背中。
北海道のユキホオジロ(Plectrophenax nivalis)。ソニー400mm F2.8 GM + TC 1.4x、560mm F5で撮影

TC 1.4xでの560mm。ここで最初の小さな引っかかりが出てきますが、テレコンバーターを使えば珍しいことではありません。TC 1.4xを付けると400mm F2.8 GMは560mm、絞りはF4になります。数値上は600mm F4とほぼ同じで、差はわずか40mmです。それでもソニー600mm F4 GMと同じシャープさに届かせるには、2段絞る必要があります。つまりF5で、600mmより光量はやや少なくなるものの、画質は同等になります。抜けの良さは少し落ちると感じますが、これは自分のピクセル等倍での見方によるところが大きいでしょう。写真を見る人の99.9%には分からないはずです。デジタル媒体で見るだけならなおさらです。F4のままだと被写体は甘く、ピントが緩んで見えます。距離が伸びるほど、そして小鳥ではとくに響いてきます。

冬羽のユリカモメが翼を広げカメラへ向かって飛ぶ、柔らかなぼかしの一枚。
ソニー400mm F2.8 GM + TC1.4x、560mm。560mm F4では甘く、ピントが緩んで見える

TC 2x 800mm F5.6

赤い頭頂が印象的なタンチョウ(Grus japonensis)の頭部ポートレート。
RAW。無加工、トリミングなし。近距離であれば400mmにTC 2xを付けても良好な結果が得られる。ソニー400mm F2.8 GM + TC2x、800mm F5.6で撮影

TC 2xでの800mm。これは被写体が近距離にある場合にしか選びません。この組み合わせを常用するくらいなら、400mmか560mmで撮って大きめにトリミングします。近距離で、被写体の大きさ次第では十分に使えます。ただし距離が伸びると、自分には満足のいく結果になりません。光が十分にあれば、中距離で絞りを上げれば(F8)そこそこの絵にはなります。この組み合わせでのTC 2xは、あくまで間に合わせです。それならトリミングを選びます。ただ、これは相性の問題でもあると考えています。TC 2xは400mm F2.8とうまく噛み合っていません。ソニー600mm F4 GMのほうが良い結果を出します。少なくとも、自分が行ったソニー600mm F4との簡単な比較テストではそう確認できました。

そのため柔軟性は望んでいた100%には届きませんでしたが、800mmを使う場面はほとんどないので致命傷ではありません。とはいえ、自分の撮影の要求がどう変わるか、どんな状況に出くわすかは分からないものです。もし小鳥だけを撮るなら、600mmを選んでいたでしょう。

青空を背景に体を傾けて急降下に入るミサゴ(Pandion haliaetus)。翼が大きく広がる。
距離が伸びると描写は粗くなる。鳥の表情という点では気に入っている一枚だが、繊細な描写ではない。400mm F2.8や560mm F5と比べると抜けの良さが失われる。この距離でこの結果を得るには、かなり絞る必要がある。ミサゴ。ソニー400mm F2.8 GM + TC2x、800mm F8で撮影

ソニー400mm F2.8 GMに追加したアクセサリー

新しい機材にはたいてい、要求に応じたアクセサリーの追加がついてきます。
自分の場合は、購入前から分かっていた2点でした。三脚座と、迷彩柄のレンズプロテクターです。

ソニー400mm F2.8 GM OSSの三脚座

アルカスイス互換クイックリリースプレート付きレンズフットのモノクロ接写。
画像の上側が純正の三脚座、下側が後から取り付けたアルカスイス対応のもの。

ソニーの三脚座は常に素の状態で、アルカスイス非対応のまま届きます。この価格帯を考えると、かなり物足りない仕様です。そのため後から購入して取り付ける必要がありました。

ソニー400mm GMのレンズプロテクターと迷彩

黒背景の望遠レンズ用迷彩柄レンズカバー。
400mm F2.8 GM向けの迷彩柄レンズプロテクターは選択肢が多くない。ネオプレン製ではなく、ずれたりほつれたりしない硬めの素材であることを最優先にした。

ソニーの望遠レンズは白で仕上げられているため迷彩が必要でしたが、同時に傷や雨などからレンズを守るものも求めていました。黒いレンズだったとしても、これは用意していたはずです。

実際のフィールドでのソニー400mm GM

ソニーのテレコンバーターの扱い

テレコンバーターについては、個人的に大きな不満が一つあります。TCを交換して装着する作業が、文字どおりの意味で難儀なのです。ここで焦点距離の柔軟性は忍耐との勝負に変わります。400mmから560mmに切り替えるだけで時間を失い、指先の作業が続き、その分だけ落ち着きを乱します。待ち伏せ撮影ではとくに響きます。理想は、ニコンやOM SYSTEMの最新世代のレンズが採っている方式、必要に応じて切り替えられる内蔵テレコンバーターです。あれは理想的な解です。

しかも交換をめぐる個人的な問題に加えて、自然写真家なら誰もが直面するまったく別の問題が絡んできます。

寒さや暑さのなかでのテレコンバーター交換

青灰色の背景の前で光の点となってきらめく、風に舞う細かな氷の結晶。
太陽が低いときにしか見えない、空気中の細かな氷の結晶。カメラのセンサーにとっては危険な存在

冬の北海道への旅では、一日の行程が始まる前に、TCを付けて撮るか外して撮るかを決めなければなりませんでした。理由の一つは、雪のある冬の環境では細かな氷の結晶が空気中を舞い、それが問題を招くからです。この結晶は肉眼ではまず見えず、日光が適切な角度で差したときにだけ確認できます。センサーに触れれば、カメラの損傷につながりかねません。しかも気温が常時マイナス20°Cという環境です。サファリのような砂ぼこりの多い場所でも、同様の問題が起きます。こうした遠征で、写真家が複数のシステムに異なる焦点距離を組んで持ち歩くのはそのためです。ここで挙げた例はドイツ国外のものですが、同じ問題は国内でも起こり得ますし、特定の国に限った話ではありません。常に頭に置き、状況に応じて対処する必要があります。ズームレンズや内蔵テレコンバーターであれば、この問題はほぼ無視できます。

「そんなもの100%解決できるはずだ、何が問題なのか」と思われるかもしれません。ただ、そう簡単でもありません。極端な温度差のもとでは、レンズを外した瞬間にセンサーが結露する恐れがあるからです。これも望ましい状態ではありません。もちろん解決策はいつでも見つかりますが、問題は現場で実用的かどうかです。自然写真では、あらゆる状況に素早く反応できなければなりません。一度逃した出来事は、二度と同じようには戻ってきません。旅先ならなおさらです。

極端な温度とソニーの400mm単焦点



旅の途中、この機材を極端な温度環境に持ち込んできました。それでも故障もAFの制限もありません。日本の北海道のマイナス20°Cでも、レンズは見事に働いてくれました。東京で40°Cの直射日光のもと、海辺で「アオバト(Treron sieboldii)」を撮ったときも問題は出ていません。弱点はカメラのほうで、動画撮影ではすぐに熱を持ちましたが、光学系は安定したままでした。

ソニー400mm F2.8 GM OSSの重量




基本的には三脚を据えての撮影を好みますが、手持ちで撮る遠征もあります。その場合、ソニーの400mm GMはしばらくすると相当に重くなり、時間が経つほど負担は増していきます。移動しながらの撮影では一脚が助けになります。ただ自分にとっては、歩くあいだ余分な重さを担ぐことになるので、必ずしも実用的ではありません。光が十分にあるときは、1kg軽いソニー100-400mm GMか、それでも600g軽いソニー200-600mm Gを手に取ることが多くなります。別の方法としてストラップで肩から提げる手もあり、機動性は上がりますが、重さそのものの解決にはなりません。

カメラバッグという課題


カメラバッグでも当然、限界にぶつかります。以前ならソニー200-600mm Gに加えて、もう1本のレンズ、予備のカメラ、アクセサリーを同じ区画に収められました。ソニー400mm F2.8 GMではそう手軽にはいきません。もちろん何とか詰め込むことはできますが、重さに加えて収まりが悪くなり、必要なときにすぐ取り出せる状態ではなくなります。急を要する場面ではとくに困ります。

そこから見えてくるのは、他のアクセサリーも持って行くなら、カメラを付けたままレンズを収めるのは無理か、何かを諦める前提になるということです。望遠ズームの大きな利点はここにありました。現場に着いてバッグに手を入れ、取り出してすぐ撮る。今はたいていの場面で、まずシステムを「組み立てる」手間が入り、少し複雑になります。そして最後にはまた分解する作業も。

400mm F2.8 GMを長く使ってきた総括

当時の判断を今も支持しているか

はい、まったく揺らいでいません。

自分にとって重要だった点はほとんど満たされましたし、このレンズを使うのは本当に楽しい時間です。心残りはTC 2xだけ。この組み合わせが1.4x TCの水準に届いていれば完璧でした。それ以外に付け加えることはありません。看板どおりの実力です。

個人的にマイナスなのは、ソニーのTC 2x、アルカスイス非対応の三脚座、そしてTCの交換作業そのものです。

ソニー400mm F2.8 GM II OSSに望むこと

もし新型が出るなら、内蔵テレコンバーターとアルカスイス対応のフットプレートに加えて、軽量化も望みたいところです。ソニー400mm F2.8 GM IIが2kgに近づけば理想的です。新しいソニー300mm F2.8 GM OSS(1475g)で、ソニーはその方向へ進んでいることを示しました。これらが揃えば、自分にとって完璧なレンズになります。

ソニー400mm F2.8 GM OSSの長所と短所

長所

  1. 卓越した画質
    • 400mm F2.8、およびTC1.4X使用時の560mm F5で、非常に高い解像感と抜けの良さ。
    • 文句なしのボケ。
  2. 明るさ
    • 光が弱い条件でも早い時間から撮影できる。
    • ISO感度を上げずに速いシャッタースピードを使える。飛翔中の鳥ではとくに有効。
  3. AFの速さ
    • 非常に高速なAF。
    • 1.4xテレコンバーター使用時も良好な性能。
  4. バランスと取り回し
    • バランスが良く、手持ち撮影が楽になる。
    • 重心が後ろ寄りで、前に垂れない。
  5. テレコンバーターによる柔軟性
    • 焦点距離を560mmと800mmに伸ばせる。
    • 1.4xテレコンバーター使用時の画質低下はわずか。
  6. 堅牢性と信頼性
    • 氷点下でも高温でも故障なし。

短所

  1. 重量
    • 2895gと比較的重い。
    • 長時間の手持ち撮影は負担が大きい。
  2. 2xテレコンバーターの性能
    • AFの機敏さと精度が落ちる。
    • 800mmでは画質が目に見えて低下する。
  3. アルカスイス非対応
    • 純正の三脚座はアルカスイスに対応せず、後から交換する必要がある。
  4. テレコンバーターの扱い
    • テレコンバーターの交換が煩わしく、時間もかかる。
    • 極端な環境での交換時に、氷の結晶やほこりでセンサーを傷めるリスクがある。
  5. 運搬と収納
    • カメラバッグに収めにくく、カメラを付けたままではとくに難しい。
    • ズームレンズと比べて取り出しと扱いに手間がかかる。
  6. 価格
    • 購入価格が高く、すべての写真家にとって見合うものではない。

ソニーが次に発表する可能性のあるものはSony Rumorsにまとめています。